辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

B-2 安倍内閣による「執行権の濫用・独裁」そして「ファシズム体制」への疾走。

 辺見庸ファシズムは現在すでに始まっていると警告している。実際、国会での多数派を盾に、アベの「やりすぎ」が横行しているのである。

 ファシズムの政治体制の形式的特徴は、執行権による独裁であり、それは政策決定過程からの議会の無視、審議の排除にあらわれる。まさに国民の無視である。解釈憲法による憲法違反の法律がまかり通り、国民の自由を奪う法律が雨後の筍のごとく制定されている。

 

 ところでファシズムって何だ? 

 それについては山口定がすでに体制の標識(山口定『ファシズム岩波書店、pp.328-329)として的確に示している。それを現在の政治状況に照らしながら紹介してみよう。

 

ファシズム体制の標識>

 ①既成の支配層のなかの反動化した部分といわゆる疑似革命勢力との広い意味での政治的同盟の成立。

 ⇒自民党右派(日本会議系)と小池百合子橋下徹の支持層及び支持党派、民進党の右派、公明党右派などの政治的同盟。

一党独裁と、それを可能にする政治的、社会的な「強制的同質化」の貫徹。

 ⇒「他にマシな政党がない」との消極的支持による自民党の多数議席獲得。それを支えるマスメディア報道と小選挙区制度。

自由主義的権利の全面的抑圧と政治警察を中核とするテロの全面的制度化。

 ⇒通信傍受法、特定秘密保護法、安保関連法、「共謀罪」法、国家公安委員会、監視社会化(監視カメラ、通報など)、ショックドクトリン策(Jアラートなど)、裁判所の反動判決

NHKの報道等自主規制、総務大臣のマスコミ報道規制発言、右派言論人の政治的利用

④「新しい秩序と」と「新しい人間」も形成に向けての大衆動員。

 ⇒ 国旗国歌法の制定、義務教育などへの教育勅語の組み込み、憲法への「家族条項」組み入れ策動。  

 

 上記によって、結局、ファシズムは通常の経済や市民の自由を全面的に「壊滅」させる。その貌を山口は述べる。

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  ファシズムのもとでの資本主義はノーマルな姿からは大きく逸脱した「狂った資本主義」なのである。 (中略)

 そこでは財界では極反動派が指導権を握るようになり、市場経済ファシストによる「命令経済」が大きく割り込んでくる。再軍備経済の全面化によって、資源や労働力の国家統制、最高賃金制と強制労働(徴用と勤労奉仕)の導入から、はては、軍事目的のための国家財政の濫費、支配機構の肥大化による膨大な行政経費というのが、どこの国でもファシズム体制下の資本主義経済の実態であった。(『同上書』pp.328-329)

 

 自由が奪われる。息苦しさが市民を襲う。

  ファシズムが敵として設定し、その絶滅を目指したのは、共産主義政党や労働運動ばかりではなかった。一見全く非政治的に見える文化的サークルやおよそそこに自立した市民の自由な結合関係があるところでは、どこでも、ファシズムは将来の「体制への批判」の土壌となりうる可能性を嗅ぎつけて、これを徹底して破壊しようとした。(『同上書』p.325)