辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

B- 4   米日の「思惑」

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     スケジュールに沿って北朝鮮はミサイルを撃つ。官房長官がショックドクトリンよろしくそれを発表する。内心、ほくそ笑んでいるかのように。「脅威」の効果を最大限利用しようという下心。「オオカミおじさん」は見抜かれてしまっている。ミサイルを撃たせないようにするのが政府の責務ではないのか?

 

  辺見庸は述べる。

  私は本質的には北朝鮮を「脅威」と考えていませんが、米国にしてみればイラクより北朝鮮の方が軍事的脅威でしょう。だったらなんで北朝鮮をやらないのか。それは北朝鮮が手ごわいからです。

 北朝鮮に対しては94年に一度戦争を構えたことがあります。寧辺(ヨンビョン)の核施設をめぐって米朝関係が緊張したときです。米軍側は当時、開戦から90日で米兵5万2千人、韓国側に49万人の死傷者がでると予想しました。38度線沿いの地下陣地に北朝鮮は一万門以上の大砲を備えており、米国はうっかり手をだしにくいといわれます。米国という軍事大帝国は制しやすい相手からやっています。

 アフガニスタンへの攻撃もそうでしたが、米国は意にそまない国に対する死刑執行人となっている。しかも裁判官と検事と死刑執行人を一人で兼ねている。

(『単独発言 99年の反動からアフガン報復戦争まで』角川書店、2001年。のち『単独発言 私はブッシュの敵である』と改題、角川文庫、2003年、67ページ)。 

 

 米国、ニッポン、北朝鮮、それぞれの政治リーダーたちの国内「失政」のカバー策として軍事作戦を利用する。とりわけアベは見苦しい。北朝鮮からのミサイルの標的はあくまで米国であるにも拘らず、あたかもニッポンに向けられているかのように宣伝し「Jアート」をちらつかせ国民を愚弄する。国民はその欺瞞にとうに気づいている。

 

 追記

 窮鼠猫を噛んで、米国に向けて仮に北朝鮮のミサイルが発射され米国がそれに応戦する。当然、北朝鮮は反撃するが、その矛先は韓国(ソウル)および日本(沖縄)である。中露はすぐには参戦しない。最悪は、核戦争。そんなシナリオだ。

  その事態を回避には、北朝鮮の現体制の内部崩壊(最終的には核開発とミサイル実験およびキム体制をいったん認めたうえで、それを促す)戦略しかないのか。 (確言できない)。

 いずれにしても、世界の現実は核兵器の均衡のうえに立ったfragileな構造であることに違いないが、「北朝鮮問題」を政局の具に使い回している米日の政治はお寒い限りである。