B-29 辺見庸の「誤記」
辺見庸の注意力・集中力はかなり弛緩している。文章の誤字・脱字が目立つのだ。しかも、彼が「もう下手なものを書くことはない。ただよめばよい」、「第8回までつづけた『月』の連載をやめることにした」、そう決心させた梶井基次郎の作品(『犬を売る露店』)の引用文においてミスしているのである。
*カッコ内の表記が、原文における表記。
「落花生の主人は時には夜泣きうどんの車からうどんを運ばせたりする。古本は南京豆の袋入りを買って鼻の下の祭りをする。万年筆やインク(インキ)消しは絶えず喋っているようだし、人足を止めていることも美人絵葉書に次いでいる」。
「しかし(然し)犬屋は、いつも厚司をはき(厚司をき)膝小僧を出し、冷たい(冷い)甃の上に寂しく立っていた」。
(以上は、辺見庸のブログ、2018年6月29日、抜粋)
原文は忠実に引用しなければならないのが基本だ。ましてや、どう考えても誤った引用としか言えない引用は絶対してはならない。例えば次の語句。
厚司をはき→正しくは:(厚司をき)。
→厚司は「履く」ものではなく、「着る」ものである。
「厚司」の意味は次記のとおり。
①アイヌ語。オヒョウの樹皮の繊維から採った糸の織物。アイヌ人が衣服に用いる。
②大阪地方から産出する厚くて丈夫な平地の木綿織。紺無地か大名縞で、仕事着・はんてん・前掛などに用いる。
辺見庸は脳出血の後遺症で右腕・右肩が麻痺。文字を書くことができず、左手でケイタイに入力(のち転送)または直接パソコンに入力。そんな事情があるとはいえ、また、気楽なブログとでも思って書き綴っているのかどうかはわからないが、現役の文筆業者であるかぎり、そして、「重要な場面」での文章には、ブログといえども細心の注意を払ってほしいものである。
先だってのあまりにも安易な「連載執筆の中断(放棄)」表明(後に撤回)とともに、辺見の最近の「乱れ」は気がかりである。
<以上、辺見庸の誤謬(番外編)要旨>
付記
小生は文筆業者、売文業者でないとはいえ、そして誤りは気づけばすぐ直しているものの、自分の文章に「誤字・脱字」がないと言える自信は全くないことをお断りしておきます。(「甘い!」とのお叱り、覚悟しています)。