辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

B-43(1) 「弱み」につけ込む

人間や組織が他の「弱み」につけ込むことについて、辺見庸は著作の何箇所かで触れている。彼はそのことについて深くは考察していないのだが、宮地尚子という人の著した本のなかで次の文章が目に留まった。 日本にも強く波及しつつある米国のネオリベラリズム…

B-43(2) 雲

天空に悠然と浮ぶ積雲。行雲流水に憧れる人も少なくないだろう。雲は絵画や詩、小説にも描かれてきた。時間や空間そして状況の変化によって雲はえも言われぬ造形美を見せる。(彩雲、滝雲、光芒など) 一方、異形の雲に驚くことがある(モーニング・グローリ…

B-42 米国の断末魔  

辺見庸は、小泉「構造改革」のときにすでに新しいタイプの「世界恐慌」を指摘していた。そして今や米国の衰退は明白であり、中国の国家社会主義に覇権を奪われつつある。口舌の徒たちの「うわごと」など吹き飛ばされている。 この情勢の基調について白井聡の…

B-41 どこへもとどかない

言葉がとめどなく拡散し流通している。そのうつろな情況に人びとの意識と感覚が麻痺してしまっている。霧雲がかかったようななかで眼と耳を研ぎすまさなければ自分を見失ってしまう。 「言葉とメディアはたんに資本の自己増殖の手段となってしまった。そうし…