辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

B-37 いっそ滅亡を

鵺のような社会、欺瞞に満ちた世の中、窒息しそうな状況。 見て見ぬふりをしていても、やがて斃死してしまうか、それとも結局殺されてしまうか。「許せない」「やってられない」「暴いてやる」・・・。 暗く湿った発語。やがて疲労破壊やクリープ破壊を起こ…

B-36 辺見庸の講演会中止 ー3日後撤回

辺見庸の講演会が中止になった。予想されていたとはいえ(中止の伏線はあったし、今回の中止理由ではなかったものの氏の体調の急変も予想されていた)、残念である。辺見庸が「健在」である姿を見たかった愛読者はいたはずだ。 小説『月』は、人間とは何か?…

B-35 『月』(辺見庸 著)への一視角

小説『月』が、いよいよ2018年10月末に単行本として発行される。相模原の障がい者殺傷事件に発想を得た作品である。 相模原での障がい者殺傷事件では、のちにパーソナリティ障害と「診断」された青年(植松聖被告)が、施設で次々と重度障害者を狙って殺した…

B-34 「なぜ在る?無くても良いだろうに」: 最新作『月』について

江藤淳は次の言葉を残し1999年7月21日、自殺した。 「心身の不自由が進み、病苦が堪え難し。去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は、形骸に過ぎず、自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よこれを諒とせられよ」 これについて辺見庸は、…