辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

B-12 大転換

政治状況がキナ臭くなっている。日本会議メンバーの小池や中山某夫妻、石破。民進の前原や抜けがけ集団、自民の残党。これらネオ・ファシズム連中が喧しい。安物の「翼賛会」劇を見せられて反吐が出る。アベ失脚後の落穂ひろいでもする気か? 整然とした街は…

B-11 内宇宙の時空間

辺見庸が、精神世界を深遠かつ広大な宇宙に類比するのは、消費資本主義のもと、マスメディアなどによって人びとの意識の価値が知らずしらずのうちに奪われていることへの「反逆」のあらわれであると思われる。 宇宙(外宇宙)の深遠かつ広大さを思うとき、彼…

B-10 過去は完了したか?  

今さらながら日本による1910年から1945年までの朝鮮半島統治(植民地化)のことを思う。政治・経済・文化のすべての面での統治は、統治される側からすれば多少近代化の恩恵があったとしても、誇り高き朝鮮民族にとっては屈辱であった。 朝鮮戦争によって分断…

B-9 「個」の溶解

辺見庸は「個人という言葉が日本では1884(明治17)年までなかった」との阿部謹也(西洋社会史の研究家)の言葉を紹介している。 日本には世間はあっても社会がない。「世間」は、人がつねに集団の価値観や意見を優先する。 何よりも個として生きてこそ生き…

B‐8 新刊『沖縄と国家』について  

辺見庸と目取真俊の両氏の対談、印象深かったのは目取真氏の次の発言である。 実際に毎日300人以上の人がゲート前に座り込めば、機動隊も簡単に強制排除できないし、資材搬入ができなくて工事は止まるわけです。本気でやるということは、効果を出すというこ…

B-7 社会的義(正義・大義)の危さ

明治維新では「義人」と呼ぶにふさわしい人物が世に多く出た。司馬遼太郎は坂本龍馬以外にも、たとえば維新に反対の立場で生きた、日本の典型的・代表的な「義人」として河井継乃助をモデルにして『峠』を書き、人気を博した。 目を世界に転じてみると、数え…

B-6 消費資本主義時代をいかに生きるか

この世界では資本という「虚」が、道義や公正、誠実といった「実」の価値をせせら笑い、泥足で踏みにじっている。そのような倒錯的世界にまっとうな情理などそだつわけがないだろう。なかんずく、実需がないのにただ金もうけのためにのみ各国の実体経済を食…

B-5 もの食う人びと

子どもたちが 戦争や失政に巻き込まれ飢餓に陥り、やがて飢え死にする。当該国家の犯罪(クライム)であることは明らかである。 それが最も弱い「環」、なんら罪も責任もない子どもたちを襲う。 米国のイラクに対する経済制裁の影響で、イラクの子どもたちは…

B- 4   米日の「思惑」

スケジュールに沿って北朝鮮はミサイルを撃つ。官房長官がショックドクトリンよろしくそれを発表する。内心、ほくそ笑んでいるかのように。「脅威」の効果を最大限利用しようという下心。「オオカミおじさん」は見抜かれてしまっている。ミサイルを撃たせな…

B-3 “生と死“:辺見庸の潜思

「死」について。 辺見庸は「死」について、深くかつ多角的に考えた作家である。 死はどのみち遠からずやってくるとはいえ不条理な死が多く、「普通の死」がいかにかけがえのないかを思い知らされる。辺見は著作の中で国家の「殺人」である死刑について反対…

B-2 安倍内閣による「執行権の濫用・独裁」そして「ファシズム体制」への疾走。

辺見庸はファシズムは現在すでに始まっていると警告している。実際、国会での多数派を盾に、アベの「やりすぎ」が横行しているのである。 ファシズムの政治体制の形式的特徴は、執行権による独裁であり、それは政策決定過程からの議会の無視、審議の排除にあ…

B-1  参考資料:辺見庸の略歴  (辺見庸研究~内宇宙への旅~)

辺見庸の略歴 1944年 宮城県石巻市生まれ(1944年9月27日)。1962年 18歳 宮城県石巻高等学校を卒業、早稲田大学第二文学部社会専修に入学。1966年 22歳 "早稲田大学第二文学部社会専修を卒業(大学卒業後も、中国研究所付属学校で中国語を学ぶ。中国語学校…

100.辺見庸の「置き文」

生き苦しさが増している。むしろ「息苦しい」といった方がよいかもしれない。右傾化なんて言葉では片づけられないほど、価値観の底が抜けてしまっている。この苦しさの理由は根深いところにありそうだ。 宮城県石巻に生まれ、太平洋沿いの海岸近くで育った辺…

99.「自己規制」や「忖度」を強いる社会は精神の自由を侵している。内面荒れ狂う辺見庸の言葉。

不自由であってもいろいろ悩まずにすむからといって怠惰な安寧に逃げ込まない。だが、まっとうに生きようとすれば権力に殺される、「殺され死」せざるを得ないが、各人が各様に葛藤しながら行動するしかない。そのことを肝に銘じながら生きる。それが十字架…

98.「根源」を見つめ続ける 

辺見庸は文学という世界で、厳しい自己との対話を繰り返してきた。スィン(罪業)を凝視しながらクライムを超える自由を達成するべく、もがいてきた。 作品には微細であっても欺瞞があってはならない。それが無自覚な偽りであったとしても。細部に偽りが宿っ…

97.距離感覚

辺見庸が寄稿した文の次のパラグラフに目がとまった。繰り返し読んだ。 「若い人びとはおそらく知るまい。一見はげしく対立するはずの、ヒューマニズムとテロリズムの二点をむすぶ線分は、おどろくべきことに、かつて、それほどに長いものではなかったのだ。…

96.軍隊の本性 

司馬遼太郎は、生涯、天皇または天皇制について直接言及(論評)することを避けたが、高山彦九郎 ( 天皇を潜在的君主とする志を全国行脚して説いた )を、さりげなく好意的に評価する一文を残したりしている。 一方で、司馬にしてはめずらしく、先の戦争末期…

95.快楽にしびれる脳内回路

アベ首相は、かつて「美しい国、日本」と言っていた。いまでもこれをひろく浸透させたいらしい。それには春の日、咲き誇る桜の花に皆が集い酔いしれる国のイメージがあるが、実体は違うのではないか。 特攻隊員のことについてアベは、「かれらは、愛しきもの…

93.恥じなき国の

恥じなき国の恥じなき時代に、「人間」でありつづけることは可能か?と、辺見庸は問うています。厚顔無恥で軽薄な者たちを見聞するにつけ、この辺見の指摘が胸に突き刺さります。 罪の文化も恥の文化も、本当は自己の目、自己の声に照らして自ら問い答えるこ…

90.生存感覚・生存意識

本来の生存条件である稀少性、有限性そしてマチエールにかんする感覚の欠如ないし希薄化によって生存感覚・生存意識は、本来の健全さを喪失し認識力・判断力も歪になっている。 その主な原因は、マスメディアとインターネットによる過剰ともいえる情報による…

89.沖縄米兵の子が吊るされる日

辺見庸は、自らの必然があればテロを敢行すると述べている。私的な被害・屈辱であったとしても、相手の行為が国家暴力を背負ってのものならば、公権力にゆだねることなく個人として制裁を加えるというのである。 もしぼくがパレスチナの西岸やガザ地区などに…

88.国家・戦争・人間

テレビやVR(ヴァーチャルリアリティ)に慣らされて、「生身」や「マチエール」感覚が希薄化してしまっている。これに対して、辺見庸は述べている。 戦争って大変に身体的なことですね。ぼくはアメリカが戦争を工業化しているといいましたが、工業は数値で説明…

87.生命は個としてのみ実現する

大量殺りく、核攻撃、動機不明の殺傷、大規模災害、 人びとは、いつ「殺され死」に追い込まれるかもしれない、そう観念するようになってしまっている。「人間一人の生命は地球より重い」はずなのに。 だが、・・・・ 「生命の尊さ」とはウソであって、どうし…

86.「それでも人生にイエスと言う」

V・E・フランクルが著した『それでも人生にイエスと言う』(山田邦男・松田美佳訳、春秋社)は、「心の救い」と「矛盾隠ぺい」の両刃の剣であるが、実際は前者の書として世界中の人びとに読まれてきた。とりわけ悩める若者や挫折者に生気を回復させてきた…

85.辺見庸 ×目取真 俊 : 対談

戦争へ向けて歩み始めている。 目取真俊 × 辺見庸の対談は、そのような情況かと思わされるなかでなされた。まさに時宜にかなった対談である。 だがこの対談、共同通信社の配信によって4月16日に沖縄タイムスと琉球新報に載ったものの、今のところホンド(本…

80.ある詩人の「剽窃」

辺見庸は10年ほど前にこんなことを書いている。 どだい、政治のなにが重要というのか。あれらの言葉の愚弄。空洞。あれらの言葉の死。ほら、そこの軒下に干してある黄ばんだおしめほどの意味すらありはしない。 『言葉と死 辺見庸コレクション2』毎日新聞社…

79.辺見庸:内宇宙への回路

創造的な破壊は否定的破壊であり、現実(構造)を是認したうえでの破壊ではない。批判は現実およびその基礎の構造に対しなされるものである。そして、思想は批判と不可分で、思想は批判そのものであるともいえる 。そのことからすれば、辺見庸の批判はまさに…

78.「誠実」をめぐる虚実

辺見庸はおもに二つの著作のなかで「誠実」について述べている。玄妙な詩、技巧的で晦渋な表現を組み込んだ鋭い批評や、衒いながらの小説、それらとは逆に、譫言や自らの「痴態」をときに記してきたブログ「私事片々」からは一見程遠い「誠実」ではあるが、…

75.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その2)

辺見庸の母がポツリと、「あのひとはすっかり変わってかえってきた。化け物のように変わって」・・・そのような口吻で復員してきた夫について呟いたと、辺見は『1★9★3★7』で記している。 この記述から、敗戦で帰還した辺見の父の心の葛藤、荒みの一端が…

74.辺見庸「父を問う」(NHKの番組)について(その1)

辺見庸の印象 無精ひげ、右半身のマヒ、右目の視力低下、口の乾き、不如意に右唇から唾液が出るのを何度かぬぐう等、大病の後遺症や72歳の高齢を感じさせた。ただし、話の内容は示唆に富むものであった。 愛犬(つれあい)とともに出演。(家族が家を出てから…