辺見庸 研究 ~内宇宙への旅~

辺見庸の発言は、ときに「荒れ球」や「魔球」もあるが、「剛速球」が身上である。その根源にある思考とは何か。

B-30  辺見庸:女性の「性」への視点

太宰治著『満願』の描写への辺見庸の視点についてみてみよう。 伊豆の三島だと思うのですが、太宰がひと夏をすごしていたところで彼が怪我をして病院にかよううちに医者と親しくなる。 そこにきれいなご婦人が週に何回かくる。病気のご亭主の薬をとりにくる…

B-29 辺見庸の「誤記」

辺見庸の注意力・集中力はかなり弛緩している。文章の誤字・脱字が目立つのだ。しかも、彼が「もう下手なものを書くことはない。ただよめばよい」、「第8回までつづけた『月』の連載をやめることにした」、そう決心させた梶井基次郎の作品(『犬を売る露店』…

B-28   辺見庸、「執筆中断(放棄)」の悩乱

辺見庸が、雑誌に連載している作品(『月』)の執筆を中断するという。(2018/ 5/ 29) もう下手なものを書くことはない。(略)第8回までつづけた『月』の連載をやめることにした。読者には申し訳ないとおもう。 その理由として、「ほとんどのことについて…

B‐27  辺見庸―毎日新聞に載ったインタビュー記事

辺見庸へのインタビュー記事を読んだ。毎日新聞の藤原章生/記者がインタビューしている。テーマは「官僚らによる一連の不始末」である。 辺見が2004年3月に脳出血で倒れ、その後復帰し『1★9★3★7』の発刊後、朝日新聞や日共などから疎んじられてますます孤立…

B- 26  天皇に手を振る辺見庸

石牟礼道子さんが、晩年に美智子皇后と縁をもち、胎児性水俣病患者と天皇との面会(2013年10月)の橋渡しをした。このことに対して、辺見庸は次のように述べている。(このことは前にも書いたことがある)。 「時間の芯の腐蝕と天皇家賛美には、なんらかのか…

B-25 辺見庸の誤謬

現代経済は消費によって牽引され、人びとが商品に呪縛され心身が商品に浸潤されている。辺見庸は消費資本主義について次のように発言している。 実感的に言えば、市民なんてこの日本にいやしないのです。いるのは、ただ消費者だけです。われわれは消費する人…

B-24 正義の戦争(just war)

一定の条件をクリアすればjust warとして許されるという考え方がある。 例えば、「最終手段または自衛行為として、そして行使される力の規模が適正でかつ可能な限り民間人が暴力にさらされない、といった制限条件下での戦争であればjust warである」とされる…

B-23 止まったままの時計

広島と長崎に「新型爆弾(原爆)」投下の恐れがあることを軍部は事前に察知していた。にも関わらず、投下当日はなぜか警報が解除された状態であったという。警報が発せられていれば少なくとも何万人の命が助かっていたはずだ。 しかも原爆投下予知関連情報な…

B-22 空費だ、世界なんて

月刊『本の旅人』に連載中の「月」(辺見庸)。 そこにさりげなく組み込まれている至言。 「ひとのやることのほとんどは、だれかのまねなんだってさ。(中略)にんげんのやることのほとんどがじぶんだけのオリジナルでなければならないとしたら、大混乱だよ…

B-21 心ばえ

森友・加計問題の茶番劇がマスコミをしばらく賑わしていたが、アベ首相夫妻の直接関与はなかったとの「詭弁」で肝心のことがほとんど「解明」されないまま終わろうとしている。そのかんひたすら自己保身を図る「北朝鮮の独裁者」が政治的駆け引きに走る。J …

B-20 辺見庸の最新作  

雑誌『本の旅人』に掲載中の「月」で、辺見庸は晩年の自らを絞りだすように表現している。2004年3月に新潟で講演中に脳出血で倒れ翌年がんがみつかって以降、心身の疲れと苦痛が次第に厳しくなっているのが読み取れる。後遺症は寛解するどころか悪化している…

B-19  受傷者の表現

「ものを書くということは、俳句であれ詩であれ散文であれ、受傷が前提にあるのだと思います」。辺見庸はそう言っている(『明日なき今日 眩く視界のなかで』2012年)。 辺見が、雑誌『本の旅人』(KADOKAWA)に現在連載中の「月」というタイトルの詩的散文…

B-18 苦海浄土

石牟礼道子さんが2月10日に亡くなった。辺見庸は、彼女と一度じっくり対談し面識があった。 「天声人語」の書き手は、水俣病患者と一緒に運動した彼女の言葉の一部を次のように紹介している。(朝日新聞、2018年2月11日朝刊) 「患者さんは病状が悪いのは魚…

B-17 現実が引き裂かれる

辺見庸の作品の中にこんな文章が出てくる。 「現実を覆っていたことばとイメージが、現実によって引き裂かれてしまい、現実がその裸形の冷酷さにおいて迫ってくることになる」 (これは或る哲学者の言葉から、との文が続いているのだが・・・) うむっ!それ…

B-16 辺見庸の内宇宙ー探究・反逆・創造ー

辺見庸の心的世界を彷徨していて、気づいたことを書き記してきました。それをこのたび電子書籍としてまとめました。 https://www.amazon.co.jp/dp/B079KC7GYG/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1517661590&sr=1-1&keywords=宮下淳 (上記の画面右爛の「無料サ…

B‐15 憲法九条制定の舞台裏

元首相で憲法制定に携わった幣原喜重郎の次の言葉が参考になる。かなり思い切った発言なので掲げる。 「非武装宣言ということは、従来の観念からすれば全く狂気の沙汰である。だが今では正気の沙汰とは何か。武装宣言が正気の沙汰か。それこそ狂気の沙汰であ…

B‐14  報復は報復を呼ぶ。アベはそれを知っていながら、自衛の名のもとに「殺し」、「殺される」状況作りに突っ走っている。

軍備増強しても、日米安保があっても、集団的自衛権を行使したって、いざ戦争になれば国民を守ることはできない。自衛隊だけでなく官民挙げて関与させられ犠牲者は百万人いや千万人以上が犠牲になるおそれさえある。「殺し」「殺される」社会をなくすことこ…

B-13 死刑制度が現存している限り、私たちは「殺人者」である。  

「個体知」「民主意識度」は死刑制度を考えることで高まる。ひとり一人の民主主義の意識と具現。死刑制度を熟慮し、自らの「個体知」を磨くことが当面必要であると思う。 訳のわからないまま選挙が行われ、訳のわからないまま選挙が終わる。誰が死刑廃止論者…

B‐8 新刊『沖縄と国家』について  

辺見庸と目取真俊の両氏の対談、印象深かったのは目取真氏の次の発言である。 実際に毎日300人以上の人がゲート前に座り込めば、機動隊も簡単に強制排除できないし、資材搬入ができなくて工事は止まるわけです。本気でやるということは、効果を出すというこ…

96.軍隊の本性 

司馬遼太郎は、生涯、天皇または天皇制について直接言及(論評)することを避けたが、高山彦九郎 ( 天皇を潜在的君主とする志を全国行脚して説いた )を、さりげなく好意的に評価する一文を残したりしている。 一方で、司馬にしてはめずらしく、先の戦争末期…

85.辺見庸 ×目取真 俊 : 対談

戦争へ向けて歩み始めている。 目取真俊 × 辺見庸の対談は、そのような情況かと思わされるなかでなされた。まさに時宜にかなった対談である。 だがこの対談、共同通信社の配信によって4月16日に沖縄タイムスと琉球新報に載ったものの、今のところホンド(本…

80.ある詩人の「剽窃」

辺見庸は10年ほど前にこんなことを書いている。 どだい、政治のなにが重要というのか。あれらの言葉の愚弄。空洞。あれらの言葉の死。ほら、そこの軒下に干してある黄ばんだおしめほどの意味すらありはしない。 『言葉と死 辺見庸コレクション2』毎日新聞社…